グレンカダム 1996 23年 59.3％ シェリーバット / OB カルバドール&キャンベルタウンロッホ

容量：700ml
ボトラーズ：オフィシャルボトリング ※カルバドール&キャンベルタウンロッホ向けPB
生産地域：東ハイランド
蒸留所名：グレンカダム
樽の種類：シェリーバット
カスク№：691624/3
蒸留年：1996
熟成年数：23年
ボトリング年：2019
度数：59.3％
総本数：…
発売時期：2020年4月
飲んだ場所とタイミング：ハリーズ高岡　2021年1月など
コンディション：開栓後6ヶ月以上

京都のザ・ウイスキーフープのメンバーで、カルヴァドスの権威として知られる高山さんのカルバドールと、有楽町のモルトマニアの巣窟と呼んでも良いモルトバーで、ザ・ウイスキーフープの主幹事を務められている中村さんと藤田さんのキャンベルタウンロッホの2店の連名のプライベートボトルのグレンカダムです。

こちらのボトルに関しては、ザ・ウイスキーフープの運営会社である曽根物産が輸入・販売を行っており、また、グレンカダム蒸留所から直接購入して、公式にボトリングされているため、定評のあるザ・ウイスキーフープ同様の和紙ラベルですが、オフィシャルボトルという扱いです。

オフィシャルボトルであるため、他の和紙ラベルと比べて、蒸留所名が大きく記載されています。

通常は、現地のラベルの規定に正しく則った場合は、ボトラーズに関しては、原則、『SINGLES MALT SCOTCH WHISKY』という表記よりも、相対的に蒸留所名を小さくしなければなりません。

私自身、グレンカダム蒸留所には、ザ・ウイスキーフープのグレンカダム蒸留所への買付に2度同行させていただき、現地でのテイスティングも行わせていただいており、モルトヤマとしても99ヴィンテージのバレルを、連名でプライベートボトルとして出させていただいています。

グレンカダム蒸留所に関しては、非常にシェリー樽の原酒が少なく、貴重であり、かつ有名店2店の共同のPBであったため、市場ではあっという間に完売してしまったボトルで、高額で転売されるようなこともあったと聞いています。

※社名や店名などのに敬称は付けておりません。

モルトヤマ　店主　下野孔明のテイスティングノート

香り：香り立ちが非常に良い、極微かに饐えた要素の有る完熟の赤いリンゴ、香ばしい麦、バニラ、カルヴァドス、アーモンド、ビーフジャーキー、ワインビネガー、ビターチョコ、心地よい樽のタンニンを予感させる香り、かすかにヘチマ。

味：酒質自体はミディアムだがシェリー樽由来の非常に強いコクを伴う。硬質ながら舌触りはスムース、バニラ、ウェハース、アーモンド、少しのビターチョコ、完熟の赤いリンゴ、長期熟成のカルヴァドス、アップルビネガー。

まず、飲む前に、Twitter上で『硫黄が！』『サルファーが！』とTweetされている方が一部いらっしゃったとのことですが、いわゆる露骨なシェリー樽の硫黄燻蒸で発生するような花火の燃えカスのような硫黄感は、私は感じませんでした。
おそらく、硫黄だと表現された方は、『極微かに饐えた要素の有る完熟の赤いリンゴ』や『ビーフジャーキー』と私が表現している部分をそう思われたのかもしれませんが、やはり前述の通り、一般的な硫黄燻蒸で発生する硫黄感とは違うように思います。
硫黄系の成分としても、露骨なサルファリーっていうよりは、強いて言うのならミーティ(MEATY)って感じでしょうか。
これが、多少好みを分かつ要素なのかもしれません。

硫黄のことはさておき、このボトルは、濃いめの硬質なシェリー感が魅力的で、カルバドールの高山さんのが携わっていらっしゃることによるバイアスなどではなくて、本当にリンゴやカルヴァドスを思わせる酸味を伴う円熟味の有るフルーティな要素がハッキリ感じられて、それが非常に特徴的なボトルです。

中々このようなグレンカダムに出会うチャンスはなく、シェリー樽のグレンカダムの中では傑出した出来で、このようなボトルがリリースされたことを大変羨ましく思いました。

流石のセレクト！という言葉しか出てこない、素晴らしい出来のグレンカダムです。

ぜひ、飲めるチャンスがあれば、飲んでいただいて、好みかどうかは別にして、何を評価しているのか、どこか素晴らしいのか、をじっくりと体感していただきたい1本です。

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