シングルモルトウイスキー初心者の方へ

このモルトヤマ店主のブログでは、私、店主　下野孔明が、酒屋でもあり愛好家でもある立場で、初心者の方へシングルモルトウイスキーを楽しむための記事を投稿していこうと思いますが、今回は、まず、第一弾として、ウイスキー自体の知識を深める前に知っておいていただきたいことについてお話します。

今回に関しては、当たり前のことばかりで、決して面白いと思われるような内容ではないというか、むしろつまらないかもしれません。

だけれども、とても大切なことです。

『なんとなくこういう事を言いたいんだなぁ』という程度の捉え方で結構ですので、参考までに読んでいただければ、今後シングルモルトを楽しむことが楽しくなったり、無駄な苦労や嫌な思いをすることを減らせる一助にはなると思いますので、お付き合いいただければ嬉しいです。

他の飲み手と競わないこと・比べないこと

まず最初に、これはどの趣味でも言えることだと思うのですが、他の飲み手と競ったり、比べたりしないでください。

誰々より何本多くウイスキーを持っているとか、高級なウイスキーを多く飲んでいるとか、飲んでいるウイスキーのレベルが高いとか低いとか、限定品のレアなウイスキーを持っているとか、そんなことで競う意味がないだけではなく、トラブルの火種になり、虚しいだけです。

単にそれだけを他人と競おうと思ってウイスキーを買ったり・飲んだりするのは、収入や資産、ウイスキーに使えるお小遣いの金額をを競うのと大して変わりません。

極論ですが、お金さえあれば、大抵のウイスキーは買えます。

自分自身の置かれた環境で、現実的に可能な範囲で、自分自身がウイスキーを楽しむためにウイスキーを買う・飲むということを、まず最初に大事にしてください。

理屈抜きに自分自身が素直に楽しもうとする姿勢が、今後のシングルモルトウイスキーとの関係やその人の人生を、とても豊かなものにしてくれると思います。

あくまで嗜好品

シングルモルトウイスキーは嗜好品であり、香味に絶対的な美味しさや良さ、正しさというものは存在しません。

飲み手自身が飲んで愉しめるが大事ですし、同時に他の飲み手を尊重するのも大事です。

これは、当たり前のことですが、意外に忘れられているよう思います。

あなたが好きなものが私の苦手なものであったり、私が好きなものがあなたの苦手なものであるかもしれません。

また、あなたが今好きなものが経験を重ねると苦手になったり、その逆で、今苦手だったものが経験により、好きになったりなんてことは当たり前に起きうることです。

絶対なんてないから、不思議で面白く、奥深いのです。

美味しいと不味い

美味しいというのは主観です。

不味いというのも主観です。

よく「美味しいウイスキー」とか「不味いウイスキー」などと表現されることがありますが、それは飲む人の主観です。

少々乱暴な例えですが、
『日本では虹は7色といわれますが、どれが美しい色ですか？どれが汚い色ですか？』
という問いに、あなたは答えられるでしょうか？

答えることはとても難しいはずですし、人によって答えが違うでしょう。

絶対的に正しい答えは存在しません。

これは、
『目の前に7本のウイスキーがありますが、どれが美味しいですか？どれが不味いですか？』
という質問に対してでも、同様のことが言えるでしょう。

もちろん、ある程度、経験があるプロであれば、一般的により多くの方に好まれやすいものや敬遠されやすいものがどれであるのかを、ある程度選別することはできるかもしれませんが、それが絶対的な評価であるわけではありません。

だからこそ、自分の価値観や好みを大事にし、同時に他人のそれを仮に理解できないとしても、尊重する態度が必要です。

不味いという言葉が持つトゲ

不味いという言葉は、多くの場合『自分の好みには合わない』という意味合いで使われていると思いますし、殆どの場合は悪意がないと思います。

ただ、不味いという言葉にはトゲがあります。

それは時に、生産者や提供者や、それ好きだったり、美味しいと思う人を傷つけます。

SNSやブログなどで簡単に情報発信ができる時代だからこそ、その点については、慎重でなければなりません。

あなたが苦手なものについて、公衆の面前でわざわざ『不味い』などと言う必要はありません。
もし苦手であることを伝えない状況であるならば、苦手であることを丁寧かつ慎重に伝えるべきです。

飲み過ぎは体に悪い

これも当たり前ですし、酒屋がブログで言う話でもないですが、お酒を飲むと体に負担が掛かります。

アルコールを取りすぎると肝臓を痛めますし、ストレートで高濃度のアルコールを取り過ぎると食道や胃も痛める場合もありますので、その点を踏まえで、健康に留意しながら、長く、健康的にウイスキーを楽しんでください。

シングルモルトウイスキーの宇宙は果てしなく広く、それと同時に沼である

見出しの通りですが、シングルモルトウイスキーの宇宙は、果てしなく広いです。

知れば知るほど、知りたいことが増えますし、飲めば飲むほど、飲みたいものが増えます。

買えば買うほど、買いたくなります。

特に男性は、集めれば集めるほど、集めたくなります。

現在流通しているものだけでなく、過去の時代のオールドボトルと言われるようなものもあれば、そして将来リリースされる物もありますので、宇宙のように広がり続けています。

また、本当にキリがなく、その楽しさを一度知ってしまうと抜け出せない、『底なし沼』とか『ウイスキー沼』とも呼ばれることがあります。

そんな恐ろしくも楽しい沼に、皆さんに安心して頭の天辺まで浸かっていただけるようにお手伝いさせていただきますので、ぜひ、今後、このブログをご覧いただければと思います。

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