スコットランドの旅~ボウモア蒸留所 製麦編~

さぁ、ついにやって来ました。

ボウモア蒸留所(海岸から撮影)

↑煙突中段の左横の黒っぽい本当に小さい点は、ディスプレーのゴミではなくて、カモメです。この写真をとったのが夜中の9時前後だったので、あまりカモメはいませんでしたが、昼間は、昔のボウモアのラベルのごとく、本当にたくさんのカモメが飛んでいました。

ブナハーブン蒸留所の後は、憧れのボウモア蒸留所です!!キルンのパコダ屋根と風見鶏が見られます。

ボウモア蒸留所

写真に写っているのがモルト見習い↑です。ミーハーなただのいち観光客です(笑) 蒸留所のお姉さんに撮って頂きました。

ボウモア蒸留所 ヴィジッターセンター

↑ヴィジッターセンターの売店スペース。伺った1週間程前がアイラフェスティバルだったので、アイラフェスティバルの限定品や、ブラックボウモア、ホワイトボウモア、ゴールドボウモア、30年のドラゴン(黒ボトル)なんかも売っています。

ボウモアでの写真は、たくさんありますので、ボウモア蒸留所に関しては、いくつかの記事小分けにして書きます。

さぁ、早速、念願のボウモア蒸留所見学ですが、世の中はそんなに甘くなく………、ボウモアの水源(ラーガン川?)が枯れ気味で、操業一時休止中でした(号泣)

当然、お目当てのフロアモルティングも見られるはずが無く………、絶望感の中、2時間ほどのクラフトマンズツアー(※一般ツアーとこのマニア向けツアーの2種類があるそうです)に参加しました。 

参加者はモルト見習いと、フェラーリのジャンパー?を着ている台湾人のワンさん。知的でお金持ちっぽい感じの方でした。

ガイドはボウモアの現地のお姉さんで、もちろんガイドは『英語』。

ワンさんは、英語ペラペラ。発音もチョー綺麗。

その点、モルト見習いは、 話についていくのがやっとのレベルで、ところどころ意味不明で『ポカン』としていて、当然、質問なんか出来やしません。

そんな正にアウェイの中、モルト見習いは頑張りました(涙)  

まず、フロアモルティグ(を見られるはずだった)。

フロアモルティング

↑本当は、ここ一面にグリーンモルト(※乾燥前の大麦麦芽(モルト))が敷き詰められているはずでした…。

フロアモルティングと言うのは、水に浸して水分を吸収させたモルトを床にまいて発芽させ、モルト(大麦麦芽)に成長させる工程で、大麦のデンプンやタンパク質から、デンプンやタンパク質をを分解する酵素を生み出します。タンパク質の多くは、この時点で多くが分解されますが、デンプンの多くは、後の糖化(マッシング)の工程で分解されます。

ちなみに、麦焼酎では、この様な『発芽』という大麦自身の生理作用を利用せず、基本的にコウジカビの酵素の力で、デンプンを糖に変えていますので、この点がモルトウィスキーとは決定的に違います。

フロアモルティングは、伝統的な製法ではあるのですが、人力でグリーモルトをかき回す必要があり、重労働で、決して効率が良くないので、これを行っている蒸留所は、スコットランドに6箇所ほどで、アイラではボウモアの他にラフロイグやキルホーマンでも行っています。

また、ガイドのさんの話によると、ボウモアは、フロアモルティングを行ってはいますが、モルトスター(製麦業者)から多く購入しているそうです。

ちなみに、キャンベルタウンのスプリングバンクは、100%フロアモルティングで作ったモルトを使用しているはずですし、逆にほとんどの蒸留所は、モルトスターから大麦の品種やピートの炊き具合なんかを指定して、購入しています。

シール(木製スコップ)など

写真の左写っている(※お姉さんの脚の右側)シャベルは、シールと呼ばれる木製のシャベル。発芽ムラを無くすため(グリーンモルトに酸素を供給するのと、熱や水蒸気がこもってムレないようにするため)グリーンモルトをかき回す必要があるので、その際に使用します。

フロアモルティングの実演

あと、同じく、大麦をかき回したりならしたりするのに、熊手に似た金属製のトンボ(※英語でなんと言えばいいのか分かりませんでした)を使ったり、機械式の攪拌機があります。この二つは、基本的にどちらも同じ目的で使用し、労力を軽減するために、機械を導入したそうです。

モルトを運ぶ二輪車

↑車輪の着いたタンクは、グリーンモルトを運搬するのに使う、台車(二輪車)です。

モルト運搬のパイプライン

↑ねずみ色のパイプというか、四角い筒の様な設備は、聞き間違いでなければ、フロアモルティングが終わったグリーンモルトを次の乾燥の行程へ送るためのパイプラインで、特殊なトンボの様な道具で床の穴へ(※写真では蓋がしてあります)モルトを掻き集めて、流すそうです。

キルン内へグリーンモルトを流し入れるパイプ

 
続いて、乾燥の行程へ。↑写真のパイプは天井から伸びていて、フロアモルティングが終わったグリーンモルトがパイプを通って流し込まれます。

キルン(乾燥塔)内部

↑キルン内部の床は、細かい網目状になっており、床にに見える白い点々は、網目に詰まったモルトです。この下から、ピートを焚いて加熱します。

ピートを焚く窯

↑ピートを焚く窯。

グリーンモルトは、発芽が進み過ぎると中の糖質を消費してしまうので、発芽の進行を止めるために、乾燥させる必要があるので、キルンという乾燥塔にパイプで送られ、ピート(※ヒースやシダ類などの植物が腐らずに軽く炭化している泥炭)を焚いて加熱します。

ピートの山

(↑お姉さんが手に持っているのは、ウ●コではなく(汗)、ピートです。ピート、は固形とそうでないもの腐葉土の様な状態の2種に大別され、固形のものは、単に切り出したものではなく、ソーセージのように圧力を掛けて穴から出して整形したものです。これが、ラフロイグ蒸留所では、固形のピートを切り出す際に、既に長方体として整形された状態で切りだしているそうですが、その整形のさせ方が、どのように味わいに影響が出るかは、わかりません。また、ラフロイグ蒸留所の説明では、英語を聞き取り間違えていなければ、整形されている固形のピートは、主に加熱の燃料として使い、腐葉土状の整形されていない方は、主にピートの香りをつける事を目的に使っている人のことでした。

 腐葉土状のピートは、主にピート層でも割と表層の部分で、まだ、植物が炭化しきらずに植物としての成分が多く残っているらしく、そのため、比較的炭化の進んだ深い層のピートよりも、一般的に植物由来のあの独特のピートの香りが出やすいそうです。)

↓※おまけ:ピートの切り出し場の様子。下部の層の方がきめ細かい粘土質で、上部の方が植物の形が残っていたり繊維質な物を見ることが出来、明らかに層によってピートの質が違う事が確認できます。写真に写っているのは、浅く掘ってあるので、実際は、もっと深いところまでピートの層になっています。

ピートの切り出し場の断層

(※おまけというより蛇足:ちなみにオークニ島にあるハイランドパーク蒸留所では、ピートの層をフォギー(約8,000年)、ヤフィー(約12,000年)、モス(約16,000年)の3層に大別し、性質の異なるそれぞれをミックスして、乾燥作業に使用しているそうです。※参考資料 アサヒホームページ http://www.asahibeer.co.jp/enjoy/liquorworld/brand/highland/quality/ )

この乾燥行程は、グリーンモルトの中の酵素を失活(※タンパク質が変性して酵素としての機能を失う状態)させてはいけないので、ただ闇雲に加熱するわけにはいきません。あくまで、加熱そのものが目的ではなく、乾燥させて発芽のプロセスを止めること(+ピートの香り『薫香』を麦芽につけること)が目的なのです。

グリーンモルトは最高でも80℃程度までしか温度は上げられませんので、ピートを窯にくべるにしろ、職人技が必要とされます。

↓キルン上部のファン。この上が、独特のパコダ屋根になっている(ハズ)。

キルン上部のファン

こうして、加熱されたグリーンモルトを除根して、モルト(大麦麦芽)となります。

その後、モルトは、ゴミを取り除いた後、モルトミルと言われる製粉機で挽かれ、さらにそれをマッシュタンに入れて、お湯を加え撹拌し、モルト由来の酵素の力で、主に麦芽糖などの糖が多く含まれるウォートと呼ばれる麦汁を取り出す作業に入ります。

続きは、次回の『製粉から発酵編』の記事で。