シェリー樽について改めて考えてみる:通説 整理編

※注:本記事のタイトルは、『その1』から、『通説 整理編』に変更しました。 平成29年1月18日

ここ近年リリースのシェリー樽の飲み比べをして感じること

 2017年の年末年始は、せっかくのお休みだったので、年末は富山のバーで、年始は自宅にて、ストックしてあるボトルを選んで、色々とテイスティングしていました。(※本当は秩父に行くつもりだったのですが、諸事情で行けなくなり、残念でした……。)

特に、3日は、近年リリースのシェリー樽のウイスキーを中心に、テイスティングをしていました。

なぜかというと、年末に、飲み手の大先輩とやり取りをしていたときに、近年のシェリー樽にも今後期待が持てるのではないか?という話題になり、改めて、シェリー樽のモルトをまとめて飲んで、じっくり味わってみようと思ったからです。

改めて飲んでみても、やはり良いものは良いんです。

今年は、近年のシェリー樽に注目すべく、飲む面でも勉強の面でも重きを置いて見たいと思います。


良いものばかりとは言えないが、少ないながら、良いシェリー樽のボトルは確かに存在する。

個別のボトルの感想は、また、改めて書きたいと思いますが、蒸留所やヴィンテージ、熟成年数は違えども、近年リリースのシェリー樽のものでも、探せば、良いシェリー樽のものがあるは事実で、特に、メインモルトさんとキャンベルタウンロッホさんのグレンファークラス1989には、次元の違う素晴らしいバランスと複雑さや妖艶さを感じ、ウイスキーフープさんのグレンファークラス2005年には、10年ほどの熟成期間にも関わらず複雑さや重厚さや瓶内変化が期待できる大きな伸びしろ感じ、エドラダワー2006には、オールドエドラダワーとも共通するクリーミーさをもちながら、濃厚なシェリーで、かつ価格もお手頃でコスパの良さはピカイチのように思います。

今挙げたこれらのボトルは、蒸留所やインポーターさんなどとの信頼関係のある、日本でも有数の目利きの方々が選定されてボトリングされているボトルなので、特別に良い樽だと言ってしまえばそれまでなのですが、それ以外にも魅力的なシェリー樽のボトルが、チーフタンズのシガーモルト1997、キングスバリーのカスクストレングスのグレンロセス2004、シグナトリーの加水43%のロングモーン1996、アデルフィのグレンロセス2007、山崎のシェリーカスクやシェリー樽のシングルカスク、スプリングバンクのシェリー樽のシングルカスクなど、種類は多くないにせよ、店主 下野が酒屋を始めてから3年と10ヶ月ほどの間にも、ボトリングされています。

シェリー樽で有名なグレンドロナックに関しては、熟成の途中で樽の中身の移し替えを行っているようで(※そうでなければ、合理的に説明できないことがあります)、条件的に、なんとも言い難いものの、90年台前半のヴィンテージに、特に良いボトルが多かったように思います。

また、カバランのソリストのシェリーの中にも、良いものが多く、K6の西田稔氏セレクトのものやオールドアライアンス向け、そして、高額ではありますがFINOのタイプのものも、短期熟成ながら魅力的だったと思います。

もちろん、そういうものが散見されるからと言って、良いシェリー樽のものがこれから増えるという証明にはなりませんが、近年のシェリー樽の熟成による経験則が積み重ねられ、『こういう条件で用意したシェリー樽で、こういう条件で熟成されると、良いものができる』ということが解明されていけば、最近バーボン樽のクオリティの高さに圧倒されていたシェリー樽ではありますが、良いシェリー樽のリリースがさらに増えてきても、確かに不思議では無いと思います。


そもそもシェリー樽って何?

シェリー樽とはなんだろうか?

私自身、正直言いますと、シェリーに関しては全く詳しくないものの、今後、改めて勉強をしたいと思うので、分かる範囲で、自分の記憶の整理も兼ねて簡単にまとめてみます。

もしかすると、記憶違いもあるかもしれませんが、その際は、優しく教えていただければ幸いです。

まず、ちょっと前までは、ウイスキーの業界では、下記のような誤った説が広まっていたように思いますし、一部では、半ば定説化されていたように思いまので、まず、その誤った認識から……。

『シェリー樽とは、シェリーの熟成に用いられた樽の空樽で、その樽は、スパニッシュオーク(ヨーロピアンオーク)から作られた樽である。(※これは誤り)』

私自身、ウイスキーを飲み始めた20歳くらいの頃から、そう聞いてきましたが、それは大きな間違いで、そもそも、シェリーの熟成には、アメリカン・ホワイトオーク材の樽が適していて、非常に古い時代のものや例外的なものを除いては、アメリカン・ホワイトオークから作られた樽により熟成されており、そもそもスパニッシュオークの樽は、シェリーの熟成には適さないのです。

ではなぜ、シェリー樽と言われている樽の多くが、スパニッシュオークの材なのかというと、一昨年のウイスキーワールド(2015 JUNE号)やウイスキーフェスティバル2015in大阪での土屋守先生のセミナーや他の専門書などによる情報を総合すると、スペインがECに加入する1986年頃までは、

  1. シェリーをスペインから輸出する際は、シェリーが樽に入った状態で輸出されていた。
  2. その際の樽は、シェリー熟成用のホワイトオークの材の樽ではなく、輸送用の樽で、タンニンが多くてシェリーの熟成に適さず、安価であったスパニッシュオークの材で作られた樽であった。
  3. スペインから、輸送用のスパニッシュオークの樽に入った状態で大消費地のイギリスに出荷され、イギリス国内で中身のシェリーが払い出された。
  4. それにより、“スパニッシュオークで作られた空のシェリー輸送用の樽”が大量に存在することとなり、それらを、ウイスキーを製造業者が、ウイスキーを熟成させる樽、いわゆるシェリー樽として利用していた。

※スパニッシュオーク=ヨーロピアンオーク=学名:Quercus Robur(クエルクス・ロブール)

しかし、スペインがECに加入し、1986年からシェリーの樽のままでの輸出が禁止されると、シェリー樽というものの存在が変わってしまいます。

  1. シェリーを樽に入れた状態での輸出が禁止され、イギリス国内で、ウイスキーの熟成に必要なシェリー樽が不足した。
  2. それにより、ウイスキー熟成用のシェリー樽の製・販売する製樽業者がスペインに現れる。(※より古い時代からシェリー樽の製樽業者がいたかどうかについて店主は存じ上げません。)
  3. ウイスキー業者からの指定の条件で、製樽業者が、新樽(※スパニッシュオークもホワイトオーク、もしくは他のオークの材も、クライアントの指定に応じて使う。)を作り、そこにボデガにて、指定のタイプのシェリー(?)を詰めてもらい、シーズニングさせる(※熟成とは言わず、シーズニングと呼ぶ)。シェリーのタイプは主にオロロソが用いられる。
  4. 2~3年ほどシーズニングして、中身を払い出した後、ウイスキー業者に樽のみを出荷する。これが、現在のシェリー樽。
  5. 払い出したシェリー(?)自体には、商品価値がなく、蒸留して、再利用する。

ここで、曲者というか、どう解釈すべきか悩ましいのが、シーズニングに用いるシェリー(?)で、なぜ”?(クエスチョンマーク)”が付くのかというと、上記のウイスキーワールドで取材した製樽業者では、ソレラシステムで3年間以上熟成させれたオロロソ・シェリーを使用していないということだったのですが、本来ソレラシステムにて、オーク樽で最低3年熟成を熟成させたものでないとシェリーと呼ぶことはできないわけです。

もしかすると、製樽業者によっては、シェリーと言うべきシェリーを入れてシーズニングをしているところがあるのかもしれませんが、確たる情報がないので、それについてはなんとも言えません。

この点はツッコミどころなのですが、シェリーと言えるかどうかは別にして、とりあえず、ウイスキーの熟成用のシェリー樽の製造においては問題がないということにしておいて、話を一旦まとめます。

かなり大雑把ではありますが、シェリーとシェリー樽の要点としては、

  • シェリー樽シェリーの熟成に用いられた樽 
  • シェリーの熟成に用いられる樽=アメリカン・ホワイトオークの樽
  • そもそものシェリー樽=スペインからイギリスへのシェリーの輸送の為のスパニッシュオークの樽の空樽
  • 現在のシェリー樽=製樽業者によって製造・シーズニングされたウイスキー熟成用の樽

ということになります。

もちろん、過去も現在も、上記の場合以外で、ボデガでシェリーを熟成させるために使用されていたソレラシステムを構成するアメリカン・ホワイトオークの樽(ソレラやクリアデラ)が古くなったり、ボデガが廃業したりという理由で樽が売却され、ウイスキー業者に渡り、実際にシェリーの熟成に使ったアメリカン・ホワイトオークの樽が、ウイスキーの熟成に使用されるということも、しばしばあるとは聞いています。

ただし、シェリー製造の要であり、かつ100年ほどシェリーの熟成に使用できると言われる樽が、上記の理由で、まとまった量で、頻繁に売却されるということは、やはり考えにくいので、シェリーの熟成に用いられた樽の割合は、決して高くないと考えられます。

……そんなこんなで、駆け足で、ざっくり頭の中を整理してみたものの、かねてから疑問に思う部分や分からない部分も多々ありますので、『シェリー樽について改めて考えてみる:疑問編 その1』の記事では、その点について、触れたいと思います。

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